〜街角ドキュメンタリー〜
素人名言劇場
【素人名言_ドキュメントNo.7】
名前:小坂めぐさん/29歳(女性)
インタビュー日時:2017年2月某日、夜10時ごろ
インタビュー場所:下北沢
下北沢の駅前の商店街で、ヒッチハイカーのごとく、店名とシステムを表記した手書きのボードを両手で掲げ、お店の入り口の前で呼び込みをしていたAKB48の峰岸みなみさん似の彼女。目の前を通り過ぎようとすると、向こうから声をかけてきたところをインタビューさせていただきました。
◎キャバクラで働こうと思ったきっかけは?
昼間の仕事の収入だけだと生活がきついから。最低限の生活はできるけど本当に最低限っていうか(笑)。自由に使えるお金がなくてプチ贅沢すらできない。
今のお店を選んだのは単純に家から近かったから。新宿や渋谷に行けばもっと時給も高いし稼げると思うけど、何かああいう大都市のお店って忙しそうだし、女の子同士で色々と面倒くさそうじゃないですか。それなら適当にヒマで適当に稼げる下北くらいがちょうどいいかなって。
◎ちなみに小坂さんにとってプチ贅沢ってどんなことですか?
例えば仕事帰りに一人で小洒落たバーでお酒を飲むとか、ふらっと焼肉屋さんに入るとか?普通でしょ(笑)?でも節約のために、結局いつもコンビニでビールを買ったりお弁当を買って我慢をするっていうね。
◎日中はどんな仕事をしているのですか?
音楽系の仕事ですね。おもにライブハウスでイベントを製作をしたり、あとフリーペーパーも作っているのでそのための取材や執筆とか。私は女性アイドルが大好きなので率先してインタビューをしています。まあでもアイドルと言っても地下のコたちばかりですけどね。
◎生活が苦しいなら、その仕事を辞めてもっと待遇の良い会社に転職をしたいとは思わない?
今はないですが、これから先はわからないですね。以前と比べてアイドルブームも衰退しつつあることは肌で感じていますから、ずっと続けていけるものではないと思いますし。
◎そもそもアイドルを好きになったきっかけは?
モモクロにハマってからですね。売れる前から応援していたので、今はあんなに売れて嬉しいです。アイドルって何か頑張っているのがわかりやすいというか、私は頑張っている人を応援するのが好きなんです。
例えば高校野球とかも目に見えて頑張っているじゃないすか、だから大好きですし。ジャニーズみたいに完成しているアイドルではなく、不完全でいびつで地下にいるアイドルの卵の方が、何か人間っぽいといいますか、生々しくていいんです。
◎小坂さんもかわいいですし、アイドルになろうとは思わなかったのですか?
いやいや(笑)。考えたことも無かったです。もともと芸能界に憧れを抱いていたわけではなく、とにかく頑張っている人を応援するのが好きなだけだから。それがたまたまアイドルだったっていうだけの話です。
◎昼間のお仕事では、休みはありますか?
一応あります。でもいつもだいたい、仕事で付き合いのある人が主催するライブやイベントに行ったりするので仕事の延長みたいなものですね。だから純粋に丸々お休みという日は無いです。
もしイベントが無くても、メールの返信をしたりホームページを更新したり何かしら作業はしているので。まあでも好きなことをしているだけなので、仕事という意識はないですね。
◎本当にそのお仕事が好きなのですね。彼氏と遊ぶ時間もないんじゃないですか?
かれこれ2年くらいフリーです。もちろん、そういうチャンスも無くはないのですが、あんまり真剣になれないっていうか、今は仕事が一番になっちゃいますね。あと付き合うことがなんか面倒くさい(笑)。
去年、京都にすごく好きな人がいたのですが、でもその人の女遊びがひどくてやめました。本人は隠しているつもりだったみたいですが、もうバレバレで(笑)。それ以来、何か恋愛をすること自体がバカバカしくなっちゃったというのもあります。
◎では結婚願望もそこまで強くはない?
そうですね。でも子供は早くほしいんです。最近は40歳くらいでも産めるけど、やっぱり若いに越したことはないじゃないですか。でも正直、自分が母親になることや子育てをすることに自信がないし、今は全く想像もできないです。だって自分のことだけでも精一杯なのに子育てもしなきゃいけないわけだから。
◎では今後、仕事と結婚ではどちらを優先するつもりですか?
うーん、まだ決められないです。でも今のところは仕事が楽しいけど、恋愛は疲れているので仕事優先かな。ただ、今後好きな人ができたら婚活優先になると思いますけど(笑)。
色々と悩んだり考えすぎても時間がもったいないので、シンプルに、やるべきことというか、やりたいことを率先してやっていきたいですね。ただのモラトリアムだと言われたらそうかもしれないけど、そうしているうちに進むべき道みたいなものが見えてくる気がします。
◎将来の夢は?
規模は小さいですが、自分が主催するアイドルイベントを大事に運営しているので、それをもっとオリジナリティ色の濃いイベントにすることです。あまり女性アイドルの枠にとらわれずにやっていて、例えばミュージシャンに出演してもらって弾き語りをしてもらったり、男性DJや男女混合のラップグループに出てもらうなど、音楽が好きな人たちも楽しめるものにしたくて。
いつかは大きな会場でやれるように続けていたいと思っています。あと子供も産みたいとは思っています。仕事とう折り合いをつけるかが問題ですが、今までに人生は本当に自分がやりたいと、もしくはなりたいと思うことを選択してきているので、今後どんな未来が待っていたとしても自分にとってはそれがベストなのだと思います。
終始笑顔ではきはきと語る姿が印象的だった小坂さんですが、数ヶ月後お店の近くを通ると、以前と同じようにお店の前でショップボードを掲げて立っていた彼女に遭遇。「あ、この前はどうも!」と元気に声をかけてくれました。なんだか吹っ切れた様子の小坂さん、何でも最近勤めていた昼間の会社を辞めて、フリーのイベンターとして活動を始めたそう。
「とりあえず一歩踏み出しました(笑)。これからどうなるかわからないけど、なるようにしかならないですからね!」小坂さんの希望への第一歩は、まずそのドアを自分で開けるところから始めたようです。