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〜街角ドキュメンタリー〜
素人名言劇場

【素人名言_ドキュメントNo.13】
名前:芦田稔さん/26歳
インタビュー日時:2018年8月
インタビュー場所:渋谷


今回はお仕事についての相談ということで、知り合い経由で連絡をもらった芦田稔さん(26)にインタビュー。待ち合わせに指定された渋谷のセンター街にあるカフェで待っていたのは、俳優の濱田岳さんを細身にしたような、小柄で優しそうな男性でした。すでに待っていた芦田さんは、私が声をかけると、わざわざ席を立って深々とお辞儀をしてくれるいかにも好青年といった感じで、くしゃっとなる笑顔が印象的でした。



街角ドキュメンタリー


ーー簡単にあいさつを済ませてざっと話を聞いたところ、芦田さんは普段マスコミ関連の会社で、ウェブデザイナー兼カメラマンとして活動しているそう。仕事のためにおぼえたカメラだったものの、いつしかどんどんのめり込み、今ではプライベートでも週3回くらいアマチュアの撮影会に参加しているという。それがきっかけで他のカメラマンとも仲良くなり仕事以外の撮影も増えた。話を聞く限りだと相談するようなことなんて無さそうな、とても充実した生活を送っていそうですが。

「とにかくもう、仕事が嫌すぎて。商品の撮影した後の画像をパソコンで処理をしている時間が辛いんです。毎日こればっかり。あんまり嫌なので会社を辞めることも考えたのですが、でもやっぱり正社員っていうポジションはとりあえず確保しておきたいから、会社にいる時間を減らして、今やっている副業の時間が増やせるような会社に転職したいっていう気持ちがあって。自分の中では今、プライベートで仕事以外の写真を撮っている時間が一番楽しいんですよね」

ーーそう一気に喋り終えると、芦田さんは冷水の入ったグラスに口をつけて、ふぅと一息つきます。そして副業についてたずねると、意外な答えが返ってきました。

「マッチングアプリってあるじゃないですか。それに登録する人のためのプロフィール写真を撮ってお金をもらっているんです。1人につき2万円で、毎月だいたい7~8くらい。ツイッターで募集をかけています」

ーー正直、マッチングアプリのために2万円も出して写真を撮ってもらう人が、まあまあいるということに驚きました。今なら自撮りでもアプリで加工をすればけっこういい写真撮れる。その思いをそのまま伝えると、芦田さんは「そうですよね」と、苦笑いを浮かべつつ続けます。

「やっぱり「プロが撮る」ってなると違うんですかね。ただ僕の場合は本職がデザイナーでありつつ撮影の仕事もしているから、いわゆる純粋なプロカメラマンではないんですけど。もちろんそのことはちゃんと説明をして、それでもいいっていう人を撮らせてもらっています。あと値段のことですが、言い訳がましく聞こえてしまうかもしれないですが、僕は撮影後にレタッチをしたり、その人のキャラクターにマッチしたシチュエーションを考えて撮ったり、あと異性に印象が良いプロフィールの文言まで考えてあげたりもしているから、地味に手間がかかるんです。写真を撮るだけなら数千円が妥当かもしれないですけど、これだけアフターケアまでやると大変で。むしろわりに合わないくらいなんですよ」

ーー副業がとても充実していそうなので今のままでいいじゃないですかと言うと、芦田さんは「いやいや」と言いながら、頭を大きく左右に振って否定します。

「今の会社には我慢できないんです。ただ、転職活動は一応してはいますが、なかなか今の会社よりも良い条件のところが見つからなくて。今の会社は始業が朝9時で夕方6時前には必ず終わりますし、残業もありませんから」

ーー聞いているだけだとやっぱり今のままでも十分な気さえしてきますが、当の芦田さんにとってはやっぱり不満があるそう。

「できることなら、もっと写真を撮りたいし、稼ぎたいんです」

ーー会社員ではあり続けたいけど今の会社に関しては辞めたい、つまり固定給は欲しい。芦田さんの理想としては、会社員として今よりも多く固定給をもらいながら、副業のカメラの仕事も増やして収入も増やしたいのだそう。だとしたら、今より条件の良い会社を探すしかなさそうです。その旨を伝えると「もちろん、そんなことはわかってはいるんですけどね」と言いながら。

「今の状況で副業が月給を定期的に上回れば独立しようとは思うんです。ただやっぱり見栄っ張りな部分があって、”正社員”っていう保険は失いたくないんです。僕は医療系の専門学校卒で、そのつてで最初に就職したのが医療機器の会社だったのですがしばらく勤めたんですけど辞めて。今のweb関係の会社はパソコンに詳しくないと入れなかったのですが、入社前はそこまで詳しくなかったので、会社に入るために色々と勉強もしたんです。それもこれも正社員になりたくて頑張ったので、正社員っていう肩書きは失いたくないんです」


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ーー私自身は一度も就職をしたことがないですが、正社員の肩書きを失いたくないという気持ちはなんとなくわかります。でも芦田さんの話っぷりからして、会社を辞めたいという気持ちがひしひしと伝わってくるのです。人生を左右することなので、会社を辞めることはあまり強くすすめられません。

「僕みたいな学歴の人間で正社員になれるような企業ってなかなかないんです。正社員だったら毎月のお給料はもらえるし、安心じゃないですか」

ーー「ちなみに今、会社から毎月いくらもらっているんですか?」会社員の魅力を語り続ける芦田さんに、質問をしてみました。

「20万円くらいです」

ーー「今の会社を辞めてフリーのカメラマンとして活動すれば、その金額以上にはなりそうじゃないですか。会社勤めをしながら1人につき2万円で毎月7~8人くらいのお客さんがいるわけですから、会社をやめればもっとたくさんの人の撮影ができそうじゃないですか?」と、つとめて明るく聞いてみましたが、芦田さんの表情はすぐれません。

「そりゃあ、今よりも稼げるかもしれないですが、でもそれはあくまで可能性の話で。やっぱりプロとして実績のない僕が、フリーでチャレンジをするにはちょっと怖いです。あともしカメラ一つで生活できなかった時に、また就活をするにしても、この年齢だと雇ってくれるところなんて無いですから」

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ーーフリーランスなんてあり得ないという雰囲気を漂わせ、頑なに姿勢を崩さない芦田さん。どうやら会社員の肩書きを捨てるという選択肢はなさそうです。そうなるとやっぱり今のまま続けるか転職をするなりして、フリーの時間をなるべく捻出するしかありません。

「そうなりますよね。もう少し努力してみます」

ーーその後、好きな映画や音楽の話、最近の時事ネタなど、たわいもない話をしばらくしたのち、今日の相談はこれで終わりかなと思い「また何かあったら連絡くださいね」と伝えると、芦田さんは少し黙考し、意を決したように「あともう一つ、仕事とは関係無い相談なんですけどいいですか」と続けます。どうしたのですかと会話を促すと、また意外な告白を始めました。

「実は僕、ナンパ活動をしているんです。アプリを使ったり、あと道端で声をかけたりして。それで撮影をさせてもらっています」

ーーもちろん、ナンパについては理解していましたが目の前にいる芦田さんからは、失礼を承知で言わせてもらえば、全く女っ気を感じないのです。極端な話、童貞感すら漂う佇まいだっただけに、かなりびっくりしました。

「アプリの場合は、相手のプロフ写真を見て可愛いなって思ったら「写真を撮らせてください」って直接メッセージを送って撮らせてもらいます。だいたい20歳前後の子が多いですね。道端では、新宿や原宿、渋谷界隈で街ゆく女の子に「すごく可愛いから写真を撮らせてください」って声をかけまくって、写真を撮らせてもらうっていう。終わったらお礼に自販機でジュースを買ってあげてバイバイするだけなんですけど。道で声をかけたりするのは10代後半くらいからやっています。やっぱりアプリより、道端で実際に自分の目で実物を見て判断する方が間違いなく可愛いんですよね。そうやって女の子に声をかけては写真を撮るっていう。その後は要望があればプリントして、プレゼントをしています。」

ーーナンパというからには、最終的にはエロい方向には持ち込むということなのだろうか。疑問をぶつけてみると。「それはないですよ」と全く意に介さない。

「あくまで写真を撮るためのナンパなので。これはプロフィール写真の撮影とは別です。今は可愛い子を撮影することが何よりも楽しくて時間が足りないくらいなんです」

ーー撮影活動の一環になるし、芦田さんにとってはすごくいいことだと思いました。ここにどんな悩みがあるのか改めてたずねました。すると「矛盾してる」って思うと思いますが、すごく深刻なんです」と前置きをしつつ、芦田さんは語り始めました。

「どうしたら彼女ができるのかなっていう。僕、26年間一度も彼女ができたことが無いんです」

ーーまあそうですよね、前置きしたくなる気持ちもわかります。それだけナンパしてチャンスがたくさんありながら、彼女ができないっていうのも変な話です。私の友人でものすごく社交性があって女性にもモテていたにも関わらず、超奥手で、28歳まで童貞だったという人間がいたので、もしかしたら芦田さんもその手の部類なのかなと思いました。

「童貞ではないんです。10代後半からナンパをしまくっていたので、逆にその辺の男性よりは経験人数はすごいあると思います。ただ「この子じゃなきゃだめだ」っていう感情が今いち芽生えないんですよ。この前もナンパで知り会った子がいて、すごく可愛くて「この子じゃなきゃ」って一瞬思ったんですけど、色々あってやっぱり本気で好きになれないっていうか」

ーーアイフォンを操作しながら語る芦田さん。その子の写真があるというので、見せてもらいました。するとそこには、元乃木坂46の西野七瀬さんのような、色白の可愛い子が写っていました。芸能人と言っても通りそうなほど美人です。「すごい可愛いじゃないですか!」と、またびっくりしてしまいました。

「彼女は写真やアニメなど色んなことの好みが似ていて、SNSのメッセージ上でのやりとりの段階ですごく気が合ったから、ちゃんと彼女として付き合いたいなって思っていたんですけど…」

ーー芦田さんはそこまで話すと、うつむいて一瞬無言になりました。そして、意を決したように再び続けます。

「初めて会った時は渋谷で飲んだんです。すごく楽しく過ごしたんですが、そろそろお会計っていうころに、その子の行きつけのお店が地元の板橋にあるからそこに行こうってなって、板橋に着いたのが深夜12時。そうなるともう、この後はその子の家に行くんだろうなってなんとなく思うじゃないですか。そうしたら案の定、家に行こうっていうことになったんです。僕はこの子とは、ちゃんと真面目に付き合いたいって思っていたので部屋に着いてすぐ「付き合ってほしい。返事は今度聞くから」って告白をして、何もせずに部屋から出ようとしたんです」

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ーー初めて会ってその日に彼女の部屋に上がる方も、また家に誘う方もなんかすごいなと思いましたが、話の続きがあったのであえてスルーしました。まあ、あり得ないことではないですが。

「その時に彼女が「告白は嬉しいよ。でも私には人生で背負ってるものがあるけど、それでもいいの?」って聞くんです。なんかその言葉がすごい気になったので、実は子供がいるとか、身内に犯罪者がいるとか色々と想像したんです。で、よくよく聞いたら体に刺青が入っているって告白されて。彼女が無言で服を脱ぎ出して全裸になったんですけど、すごい龍とか虎が背中から胸、内腿あたりにかけてびっしり入ってて。もう胴体はほぼ刺青みたいな。「付き合うならこれも受け入れて、ちゃんと結婚まで考えて欲しい」って言われたんです。でも本物の刺青とか、正直あんまり見たことがなかったものだったから僕もびっくりしたのと怖かったのもあって、気持ちがすっかり冷めちゃったんですよね。でも「経済的なこともあるから現実的に今すぐに結婚は考えてはいないけど、付き合いたいっていう気持ちは本当だから」って一応伝えて…。結局やっちゃったんです」

ーーエロい方向には持ち込まないとさっき言っていたばかりでしたが、予想通りの展開だったのでさほど驚きませんでした。私の反応を見た芦田さんは「本当に全然そういうことはなかったんですよ」と否定しながら続けます。

「昔と比べて最近はかなり減っているんです。たしかに昔はナンパとモデル撮影がセットになっていましたが、今は本当に違うんです。ナンパして一度関係を持ったりすると、いつも気持ちが冷めちゃって相手のことを好きじゃなくなってしまうんから。さっきの刺青の彼女とはその後連絡を取り合っていますが、特に進展はないですし、僕もそういう気がなくなっちゃって」

ーーだったらやらなきゃいいんじゃないですかと、思わず本音をぶつけてしまいました。すると芦田さんは消沈し「そうなんですよね」と、小さな声で呟くとわかりやすくうなだれました。

「頭ではわかっているんですけど、そういう状況になるとどうしてもスイッチが入ってしまうというか…。僕、本当に病気かなって思うくらい、人一倍女の子が好きなんだと思うんです。童貞の頃はドキドキしながら道で声をかけたりして、そこで連絡先をゲットできて、後日会うことができるようになったらデートプランとか必死に考えたりして、純粋に女の子との時間を楽しんでいたんです。でもナンパを始めたら、わりと簡単にセックスができるようになっちゃって、それをずっと続けているうちに”彼女”というものの作り方を忘れてしまったんです。ただそうは言いながらも、彼女ができないことに対して自分でもそこまで深刻には考えていないっていう、そこがまたダメなところで…。

ーー純粋に被写体として、モデルさんとして可愛い女の子を募集することはできないものなのでしょうか。すると芦田さんは苦笑いを浮かべながら、自己分析を始めました。

「そう思ってはいても可愛い子を見たら撮りたくもなるし、仲良くもなりたいって思っちゃうんです。僕の場合は今まで全然モテてこなかった分、女性への欲求ややることに対する貪欲さが人一倍強いんだと思います。今になって青春を取り戻している感じといいますか」

ーー前半の会社を辞める辞めないの話と同様、答えは行き詰まってしまい、お互いに沈黙が続きました。私からはもう特に意見をすることもなく、というか、前半と同様、芦田さんの気持ちが変わらない限りは進展はなさそうだったので、私はまとめに入りました。

とりあえずこのまま通にナンパを続けていれば、いつか付き合えるんじゃないですか? とにかくナンパをして仲良くなっても飲みに行かないとか家に行かないとか、自分の中でルールを決めないと。もうこうなったら、フリーでカメラマンの仕事をしながらナンパをしまくるのはどうですか? 趣味と実益を兼ねてますし一石二鳥じゃないですか。

「いつかそうしたいとは思っています。でもその糸口をどう見つけたらいいのかなって…」

ーーやっぱり芦田さんは煮えきらない様子です。とりあえず、まずは会社を辞めることをすすめてみました。

「3年以内に辞めることを目標にします。今辞めたら、まだまだ不安定な写真の仕事だけしか残らないですから。もうちょっとお金を貯めつつ、写真の仕事で自信をつけてから辞めます。話をしていて改めて自分で思ったんですけど、僕の中で今一番熱量があるのは女の子を撮ることなんですよね。とにかく今は仕事をしつつ、かわいい子をSNSにアップし続けること。それを続けていれば注目度も上がって話題にもなるでしょうし。カメラマンとして注目をされれば、より大きなビジネスになる可能性も出てきますもんね」

ーー芦田さんは最後に少しだけ元気になったようでした。





(まとめ)
最初は仕事についての相談かと思いきや、話の核の部分は”女性が好きすぎる”ということでした。一見すると芦田さんは虫も殺さない雰囲気を醸す、ものすごい穏やかな人ですが、中身はかなりの肉食系。今回のインタビューを通じ、人は見かけによらないということ、またもう一つは、世の中の多くの人の相談の目的は、相談相手に新たな展開の可能性を示唆してもらうことではなく、自分の意思の肯定と確認を行うことだということを改めて学びました。私個人の思いとしては、なんかもったいないといいますか。正社員にこだわらずカメラを武器に自由に働いて、また彼女を作るとか作らないとかとりあえず置いておいて、とにかくナンパをしまくって色んな女性と接して、そこから女性に対する芦田さんなりの新たな価値観みたいなものを見出して欲しいなと思いました。


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